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2010,11,21.筆の事(その3) 

立石寺の岩

筆を作る工程を何度か見たことがある。

? 選毛・毛組み
   毛の良し悪しを選別し、使う毛と使わない毛とに仕分けします。

? 火のし・毛もみ
   灰をまぶし、火のしをあてた毛に鹿皮を巻いてもみます。
   毛の油を抜き取り、墨含みを良くする為です。

? 毛そろえ
   クシ抜きして綿毛を取り除いた後、
   少量ずつ毛を積み重ね毛をそろえてゆきます。

? さか毛・すれ毛取り
   毛先を完全にそろえ、小刀で逆毛・すれ毛等を
   指先の感触を働かせながら抜き取ります。

? 寸切り
   命毛、のど、腹、腰とよばれる筆の先端から下部にかけての毛を、
   それぞれの長さに切り分けます。

? 練り交ぜ
   寸切りした毛を薄く広げ、混ぜ合わせてゆきます。
   残っている逆毛などを取り除いた後、完全に交ぜて薄糊をつけます。

? 芯立て
   芯立筒(コマ)に毛を入れ、太さを規格に合わせます。
   不必要な毛をさらに抜き取り、乾燥させます。

? 衣毛(上毛)巻き
   衣毛(芯より上質の毛)を薄く広げて乾いた芯に巻きつけ、
   さらに乾燥させます。

? 糸締め
   毛の根元を麻糸で結び、焼きごてをあてすばやくまとめます。
   筆の穂首(毛の部分)のできあがりです。

? くり込み
   穂首を軸にはめ込み、接着剤でしっかりと固定します。

? 仕上げ
   糊を穂首に含ませた後、巻きつけた糸をまわしながら
   余分な糊を取り除きます。
   穂首の型を整えたら乾燥させ、キャップをはめます。

? 銘彫刻
   軸の部分に三角刀で銘を彫ります。
   こうして一本の筆が完成します。

気の遠くなる様な工程を経て、筆が完成するそうですが、
大切に使いたいものです。

そして、自分の腕の未熟さを筆の所為にしたくなるのを抑えたいものです。