筆を作る工程を何度か見たことがある。
? 選毛・毛組み
毛の良し悪しを選別し、使う毛と使わない毛とに仕分けします。
? 火のし・毛もみ
灰をまぶし、火のしをあてた毛に鹿皮を巻いてもみます。
毛の油を抜き取り、墨含みを良くする為です。
? 毛そろえ
クシ抜きして綿毛を取り除いた後、
少量ずつ毛を積み重ね毛をそろえてゆきます。
? さか毛・すれ毛取り
毛先を完全にそろえ、小刀で逆毛・すれ毛等を
指先の感触を働かせながら抜き取ります。
? 寸切り
命毛、のど、腹、腰とよばれる筆の先端から下部にかけての毛を、
それぞれの長さに切り分けます。
? 練り交ぜ
寸切りした毛を薄く広げ、混ぜ合わせてゆきます。
残っている逆毛などを取り除いた後、完全に交ぜて薄糊をつけます。
? 芯立て
芯立筒(コマ)に毛を入れ、太さを規格に合わせます。
不必要な毛をさらに抜き取り、乾燥させます。
? 衣毛(上毛)巻き
衣毛(芯より上質の毛)を薄く広げて乾いた芯に巻きつけ、
さらに乾燥させます。
? 糸締め
毛の根元を麻糸で結び、焼きごてをあてすばやくまとめます。
筆の穂首(毛の部分)のできあがりです。
? くり込み
穂首を軸にはめ込み、接着剤でしっかりと固定します。
? 仕上げ
糊を穂首に含ませた後、巻きつけた糸をまわしながら
余分な糊を取り除きます。
穂首の型を整えたら乾燥させ、キャップをはめます。
? 銘彫刻
軸の部分に三角刀で銘を彫ります。
こうして一本の筆が完成します。
気の遠くなる様な工程を経て、筆が完成するそうですが、
大切に使いたいものです。
そして、自分の腕の未熟さを筆の所為にしたくなるのを抑えたいものです。
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