擦った墨は、とにかく「良い香り」がする。
墨を擦りながら、精神を落ち着かせる。
水を入れて墨を擦る為、夏場は腐る。
腐らないように冷蔵庫に入れてみると、
煮凝りのように(ケトンケトン)状態になってしまって、
思った様に筆が動かない。
青墨等は、墨色を深くする為、わざと腐らせ寝かせる時もある。
昔、(ある先生は、朝から奥様が墨を擦ったのに、「今日は気が乗らぬ」と言って、
折角擦った墨を捨ててしまった)と聞いた事がある。
心の状態が如何に物を云うかが問われるのだが、
今時は(男尊女卑)と蹴飛ばされてしまうでしょう?